緊張と期待

明日からユースクライマー最大のイベントの一つ、「全日本クライミング・ユース選手権リード競技大会」が開催されますね。
選手の皆さんも緊張が高まってきているのではないでしょうか?

今回はアスリートにとって、避けて通れない問題である「緊張」についてのお話です。

なぜ「緊張」するの?
「緊張」とは、生物がもともと持っている危機回避能力の一つで、危険を察知したときに交感神経を優位にし、即応出来る状態を作り出す能力であると言われています。ネコを驚かせると、尻尾が太くなり背中を高くし、さらに追いかけると、パニックになったように全力で走って逃げていきますよね。

では、なぜコンペを危険と感じるのか?
ネコは「人間に追いかけられる」という「自らでは対処することが困難な状況」であると判断しています。
同じように「難しい課題にチャレンジしなければならない」「周囲の期待に答えなければならない」「決勝に残らなければならない」など、「~しなければならない」という感情から、自分の実力では難しいのではないか?と不安になってしまうからだと思います。

「緊張」しない為にはどうすればいい?
無理です!(笑)というか、全く緊張していない状態にする必要はないのです。
アスリートにとって最も良い状態とされるのは、交感神経:副交感神経が、1:1の状態。つまり、緊張とリラックスが半々の状態だと言われています。なのに、緊張を全て取り除こうとし、それに失敗するから余計に不安が募ってしまうのです。

まずは自分が緊張している事を自覚し、ちょっとだけリラックス出来る方法を取ってみましょう。
例えば、深呼吸や、目を閉じて大の字で寝る、目をストレッチする・・・いくらでも方法はあります。
半々まで行かなくても、6:4で十分です。大事なのは「~しなければならない」状態から抜け出す事なのですから。

ここまでは、選手本人の問題ですが、それよりももっと大きな問題は「周囲の期待」です。

指導者や引率者、保護者、多くの人が1人の選手に関わっており、その全員が選手に期待していると思います。
この「期待」ほど、選手にとって迷惑なものは無いでしょう。
競技するのは選手本人ですし、その結果を喜ぶのも悲しむのも選手本人なのだから。
「期待するな!」というのではありません。誰しも大きな「期待」を持って応援しているのだから。

競技前に「期待している」ことを選手に感じさせるような「言動に注意しよう!」ということです。
「気合入れていけ!」・・・これ以上?
「自信をもて!」・・・今の状態では足りないの?
「落ち着いて!」・・・私、落ち着いてないの?
「緊張するな!」・・・無理です。

平常状態ではない子供の姿を見て「何とかしてあげないと」と感じるからこその言動なのですが、競技直前になってなんとかしようとしても、不安を煽ってしまう事にしかなりません。

選手本人は緊張を抑えようと必死です。せめて周囲からの不要な緊張を抑える事に取り組んでみては如何ですか?

選手をサポートする者の役割は、競技直前の対処ではなく、普段の練習時から、いかに本番を想定した状況に選手を慣れさせる事では無いでしょうか?ルーティーンを与えてみるとか、心身共に充実できるウォームアップ方法を考えてあげるとか。

「全日本クライミング・ユース選手権リード競技大会」に出場される選手全員が、最高の状態で自分を表現できることを願います。